STEP4. 調査事例
人口増加に伴い都市周辺地域の宅地開発が進み、利用価値が減少したため池の再活用事業計画が浮上しました。 ため池造成の設計及び施工に際して、ため池を構成する地盤の土質工学的特性が問題となり、地質調査が実施された事例を紹介します。
業務事例
ため池の宅地化(埋立造成)工事に伴う地質調査
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開発計画
ため池を埋立て、周辺道路よりも高く嵩上げし、RC3階建の建物を建設する計画事案 - 地質調査の内容
造成前のため池内で3箇所のボーリングと乱れの少ない土質試料の採取を行い、室内土質試験を実施 -
総合解析
・柱状図、コア写真、原位置試験等の整理及び地質断面図の作成
・土質工学的特性の評価と地盤モデルの作成
・造成に伴う地盤の長期圧密沈下量の検討
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想定された地盤沈下量
ため池の底質の上層部には約5mの層厚を有する有機質粘土やシルト質粘土からなる軟弱層が堆積していて、 ため池の埋立てによる嵩上げ高さは約6.5mが計画されていた。 造成計画に対する地盤沈下量は 60cm~90cm、圧密時間(圧密度90%)も長期期間(約1500日)に及ぶことが推測された。
設計・施工上の課題と提案
- 地盤沈下対策は必須であること
- 地盤対策は地盤沈下を促進させるためのプレロード盛土を推奨
- 盛土施工に伴う地盤沈下量を定期的に計測(予測地盤沈下量を検証するための沈下板設置:上写真参照)することを提案
- 建物の建設着手時期は、打設後の支持杭への影響を避けるため、プレロードによる沈下量が計画嵩上げ時の沈下量を超えてから施工に着手することを提案